19世紀 フランス 洗礼者ヨハネ 彩色木彫像

COMMENT/フランス19世紀 彩色木彫による幼子の姿をした洗礼者ヨハネ像。

ヨハネはキリストの誕生に先立って神から遣わされた預言者であり、「荒れ野に叫ぶ声」として人々に悔い改めと洗礼を説いた重要な存在。幼いながらも手に掲げた十字架は、将来の受難を暗示し、キリストとの深い結びつきを象徴しています。

この像では、ヨハネはまだ少年の姿で表され、ガラス製の眼を持ち、どこか天を仰ぐような純真な眼差しを浮かべています。その表情は見る角度によって異なる印象を与え、まるで静かに語りかけてくるような神秘的な魅力を放ちます。衣の装飾や彩色には19世紀当時の手仕事の丁寧さが感じられます。

長い年月の中で、十字架の一部に欠け、衣装に彩色の剥離、台座にひびが見られますが、それらは本作が祈りとともに過ごしてきた時間の積み重ねでもあり、静謐な存在感を一層際立たせています。信仰、無垢、預言といったテーマが静かに語りかけてくる、祈りの一体です.

•　年代：1800年代（19世紀）
•　地域：フランス
•　素材：木彫（彩色）

SIZE/全高cm50.5×台座幅7.7cm