17世紀 フランス 木彫 装飾パネル 甲冑の騎士レリーフ／ 中世の記憶を刻む肖像

COMMENT/フランス17世紀。このパネルは甲冑をまとった騎士の横顔を浮かび上がらせた木彫レリーフです。元は古い家具の装飾パーツであったと考えられ、当時の生活空間を荘厳に彩ったものでしょう。

描かれた騎士の表情は決して力強いだけではなく、鋭利でなく、むしろ丸みを帯びた彫り口の自然な造形は、どこか静かで精神的な深さを感じさせます。それは戦士であると同時に信仰者でもあった当時の騎士たちの在り方を映しているのかもしれません。まさに祈りの横顔です。現代の空間においても古民藝的な趣をたたえた静かな彫刻として存在感のある逸品です

通常なら欠点と見なされる虫食い跡や摩耗ですが、この作品ではそれが「魅力」となります。使い込まれ、風化しながらもなお残る風格と静けさが感じられ、数百年の歳月、時の流れそのものを鑑賞できます。これは新しい物や、時代の若い物では決して得られないアンティーク古民藝ならではの詩情かと思います。


•　年代：1600年代（17世紀）
•　地域：フランス
•　素材：木製
•　サイズ：幅約21cm × 高約31.2cm