18世紀 北イタリア 彩色木彫 ケルビム 天使像（双体）

COMMENT/18世紀初頭、北イタリアで作られた彩色木彫の教会装飾彫刻です。

本品は、天界において神の玉座を囲むとされる高位の天使、**ケルビム（Cherubim）**を表現したもので、翼と顔だけの姿で雲に浮かぶように構成されています。

ケルビムは旧約聖書にも登場する重要な天使であり、神の栄光の周囲にあってその威光を強調する存在とされます。中世〜バロック期のヨーロッパでは、その神聖性を象徴として教会建築の内部装飾に多用されました。本作もそうした文脈の中で、祭壇や天井装飾の一部として配されていたものと思われます。

ややふくよかな幼児のような顔立ちは、信仰と芸術が融合したこの時代特有の造形で、視線を天に向ける二体の表情からは、静謐で崇高な宗教的感情が読み取れます。
彩色は長い時の中で退色しながらも、かえって味わい深い古色を帯び、木地や下地の色が顔を覗かせています。

長い年月を経ているため、表面には虫喰いの痕跡が確認できますが、いずれも修復されていないオリジナルのままであり、この作品が背負ってきた時間の重みをそのまま感じ取ることができます。

•　年代：1700年代前半（18世紀初頭）
•　地域：北イタリア
•　素材：木製・原彩色
•　コンディション：虫跡、欠け（画像参照）

SIZE/高約37cm　横幅約26.5cm