19世紀 フランス アンティーク 鉄製 スパイクカラー 猟犬用 防護首輪

COMMENT/19世紀フランス、猟犬用の鉄製スパイク首輪。

厚手の鉄製プレート3枚を蛇行状のアイアンフックでつなぎ合わせた構造は、極めて実用的な作りであり、同時に工芸的な手仕事の痕跡を色濃く残しています。この首輪は攻撃用ではなく、主に**狼や野生猪などの猛獣による咽喉部への致命傷を防ぐための「防具」**として用いられました。鋭利なスパイク状の突起は、敵対する動物が猟犬の首に咬みついた際に傷を負わせることで牽制し、犬の生還率を高める工夫でもあります。

プレートの縁にはのこぎり歯状の加工が施され、首へのフィット感と防御性を両立。現在ではこのような重厚なスパイクカラーは非常に珍しく、ヨーロッパでは狩猟文化の記録として収集対象とされるコレクターズアイテムになっています。
ケント州リーズ城（イギリス）に現存する「犬の首輪博物館（The Dog Collar Museum）」にも類似のウルフカラーが多数収蔵・展示されており、本品と同時代・同系統のものが確認できます。こうした首輪は、単に犬の道具ではなく、人間と犬と自然との闘いの歴史を象徴する文化財とも言えるでしょう。

プレートの突起それぞれ各々一つ欠。意図的に外されたのかもしれません。これは使用歴のある証左であり現存する多くの実物資料にも共通する自然な経年変化です。オリジナルのまま補修等はされておらず、19世紀猟犬文化のリアルを体現する逸品です。

詳細情報

•原産国：フランス
•年代：19世紀（1800年代）
•素材：鍛造鉄（ハンドフォージド）
•構造：鉄製プレート×3、蛇行アイアンリンク接続
•状態：経年使用による小欠け・摩耗あり（装飾・展示用）

SIZE/内径 約16cm / 各プレート 約10×9cm