聖フェリクス 第一級 聖遺物 認証書付き（19世紀・ローマ）ルリケール

COMMENT/聖フェリクスの第一級聖遺物と、その真正性を証明するラテンの認証書 の一対です。

金属製（銀系？）容器は楕円形枠を持ち、中央に聖人名が記された紙片とともに、細工装飾を施したガラスの下に小片の聖遺物が封入されています。裏面には、赤い蝋封（シーリングワックス）と糸による封印が残り、完全な状態で当時のまま保存されています。

聖フェリクスという名の聖人は数多く存在しますが、本遺物に見られる筆記と時代背景から、ローマ初期殉教者の一人「聖フェリクス・マルティル」の聖遺物と考えられます。彼は紀元3世紀のディオクレティアヌス帝の迫害期に殉教したと伝えられ、ローマのカタコンベ（地下墓地）に埋葬されました。

19世紀前の教皇ピウス9世の時代になると、ローマ教皇庁は信徒の信仰を再興する目的で、古代カタコンベから発見された殉教者の聖遺物を再認定し、正式な証書と共に教会・修道院・有力貴族など篤信家へと頒布しました。本遺物もその流れに連なるものとみられます。

聖遺物は、信仰対象としてだけでなく、19世紀ヨーロッパの宗教復興を象徴する貴重な文化遺産でもあります。本品は教会史・美術史の両面で資料価値を有し、個人コレクションや聖具展示にふさわしい希少な逸品です。


•　容器：金属製楕円枠（経年変化あり）
•　封印：赤蝋と糸の完全封印
•　証書：原本付き（ラテン語、筆記・ローマ教皇ピウス9世時代の首席枢機卿の署名・印章良好）
•　年代：1861年頃（19世紀中葉）
•　サイズ：容器長約3cm