《猟師の肖像》フランス アンティーク 1858年 油彩・キャンバス　

COMMENT/フランス19世紀中頃、1858年の年記があるキャンバス・油彩肖像画です。

田園風景を背にした一人の猟師を冷静かつ誠実に描写しています。黒い帽子を被り、濃い髭を蓄え、日焼けした肌と深い眼差しが印象的です。衣服はゆったりとした藍色インディゴのスモックを着用し、肩からはストラップが斜めに掛かって、革製の猟袋が見え、右肩に立てかけるように持たれた猟銃が当時の狩猟生活を雄弁に物語ります。

モチーフの服装からしても、本作はフランスのアンティーク・ヴィンテージのファッションを扱うショップのディスプレイとしての空間演出に最適ですし、19世紀の生活様式や服飾文化を好む方の書斎・アトリエ・コレクションルームの装飾としても深い味わいを添えてくれるでしょう。アンティーク家具やワークウェアとも自然に調和し、空間に確かな物語性を与えてくれる逸品です。

画面の筆致は写実に寄り、顔の表情や陰影を丁寧に捉えており、民衆を尊重して描く19世紀の地方的な肖像表現に属します。背景の空と樹影は控えめに処理され、人物を強調する落ち着いた配色が特徴です。

本作に描かれているのは、宮廷文化における華やかな鹿狩りや騎乗狩猟ではなく、農村に生きる一人の猟師の姿です。使い込まれた質実な衣服や猟銃など、生活のために森へ入る「庶民の狩猟」の現実感が丁寧に表現されています。意外とこういう庶民の肖像画は少なく、また服飾史的な面白さのある絵は探してもなかなか見つかれません。

コンディションとしてはキズが一か所、その他経年による表面の小さな擦れ・縁の擦り切れが見られますが、全体的にはまずまずのコンディションとなります。また額装し直すことで印象がさらに良くなるかと思います。詳細は画像にてご確認ご判断ください。

•　年代：1858年（作者のサインと1858の年号が右下にあります）
•　国：フランス
•　素材：油彩・キャンバス
•　サイズ：高約41cm x 幅約32cm