19世紀 フランス アンティーク 聖母マリア ／花冠の聖女 木彫像 ネオゴシック様式 ロマン主義

COMMENT/19世紀フランスにて制作された、アンティークの木彫、聖母マリア／花冠の聖女像です。

本作品の魅力は、19世紀フランスの美術史的な潮流にあります。この像は中世の敬虔さを理想としたネオゴシック（ゴシックリバイバル）の影響を強く感じさせます。伏し目がちで内省的な表情、垂直に落ちるヴェールの表現は、中世彫刻の持つ静謐さと、19世紀のロマン主義的な甘美さを融合させたものです。

また頭部に戴く花冠とヴェールは「純潔」と「聖性」の象徴です。古来よりこの図像は特に聖母マリア、あるいは特定の純潔な聖女を表すものとして扱われてきました。

入手時の話では教会装飾の一部だったと聞いており、背面までしっかりと彫り込まれていることから、単なる壁の飾りではなく、祈りのための独立したキャビネットピースなど、格式高い宗教家具の先端飾りと想像されます。

全体に深みのある濃いパティナが乗っており、200年近い時の経過を感じさせます。所々に自然な摩耗が見られますが、これはアンティークとしての歴史と歳月を裏付ける風合いかと思います。

•　年代：19世紀中期
•　国／地域：フランス
•　素材：木彫
•　サイズ：高約16.5cm 幅約9cm